能開は、たくさんの「思い出」と「思い入れ」が詰まった場所。背伸びしたより、さらに少し上のところにゴールを置く勇気を。

海外留学をしたいと思ったきっかけを教えてください。

大久保さん 昨年の8月に「日米学生会議」に参加しました。ニューヨーク、ワシントンD.C.、 アナポリスの3都市を巡りながらアメリカの大学生と共同生活、議論、発表などをする80年以上の歴史がある会議です。これに参加したことで、もっとアメリカで学びたい、住んでみたいと思うようになりました。
英語で議論をするのは、すごくハードルが高かったです。実際、英語レベルが足りず聞き手にまわること、日本に帰りたくなることもありましたが、失敗することに対する抵抗はほぼないんです。もちろん、一時的には凹んだり、反省したりします。でも別に恥ずかしいことじゃないから、またここに戻ってきてリベンジしなければならないと思いました。
日本の若者が政治に無関心で、投票に行かなかったりすることが社会問題になっています。自分もそれに対して、なぜなんだろうとずっと思っていました。ただ、実際にアメリカに行くと、アメリカの学生は政治への関心は強いけど、それゆえ対立も強くて、これが理想ではないなと感じました。そこから、社会や政治、そして人間同士の関わり合いについてもっと学びたいという思いも強くなりました。

大久保 理子さん

アメリカの名門・カリフォルニア大学バークレー校への交換留学が決まりました。
ものすごく狭い門ですが、どのような過程で決まったのでしょうか。

大久保さん ICUの交換留学制度は、学費は日本に収めている金額と同じで、1年留学しても4年でICUを卒業できるところに惹かれました。
選考は、大学の成績とTOEFLなどのスコアで行われて、ICUの場合は英語1,000ワードでなぜ行きたいのかというエッセイを書き、面接を兼ねたグループディスカッションがありました。 大学生になったら海外留学することを思い描いていました。能開の先生にも「社会人になるとチャンスが減るし、価値観が凝り固まってしまうから、考えがまだ決まらない早い段階で世界を見た方がいいよ」とアドバイスされていました。
自分の世界を広げたいという思いが根幹にあり、語学のためではなく、研究のために留学したいと思いました。アメリカは、日本よりも研究が強いです。持ってるお金も違いますし、自分が将来研究者になりたいと思った時のポストやチャンスも多いです。そういう意味でも、早めにアメリカで研究したかったので留学を決意しました。

能開で身につけたことが、今どのように活きていますか?

大久保さん これまでお話ししたすべてのことが能開から繋がっているように思います。能開での勉強は、サイクルによる積み重ねです。年3回のくり返し学習もそう。予習→授業→復習のサイクルもそう。5年間もやっていると、やっぱり体に染み渡っているなと今回振り返ってあらためて実感しました(笑)。
知的な体力も鍛えられました。ちょっとわからない問題があっても投げ出さずに、考え続ける体力です。それは高校でも、大学でも、その先でも、ものすごく重要なことだと思っています。
予習の習慣も大学で役立っています。先生が授業で教えてくださることは、時間の制約もありほんの一部です。学問はもっと膨大なので、あとは自分でどう学ぶのかが大事になってきます。

能開の教育理念「困難にたじろがない ひとりで勉強できる子に」について感じることを教えてください。

大久保さん 能開の封筒を開けるところにも書いてあったので、頭に刷り込まれています(笑)。「ひとり勉強できる」ということは本当に大事で、手取り足取り教えてくれる人、24時間助けてくれる人はいないので、自分自身で学んで実践できる人は強いです。
そして、自分のベースがあって、自分で考えて、自分のアイデアを出せるからこそ、他の人と勉強する意義があるのだと思います。能開で、ひとりで学べるように育てていただいたことはすごく重要だったと思います。勉強は孤独な側面もありますが、能開のおかげでいまそれをマイナスに感じることはまったくないです。

大久保 理子さん

将来の夢や目標について教えてください。

大久保さん これまでもそうだったように、人との出会いによって自分の進む道が大きく変わることはよくあります。まずはこの1年、新しい土地でも自分の将来のベースとなるような人との繋がりを築けるのかが勝負なので頑張ります。やりたい社会学の研究も少しずつ見えてきたので、その研究を続けつつ、どんな仕事に就けばそれらを社会に還元できるのか、少しずつ探していきたいと思います。

大久保さんにとって、能開はどんな場所でしたか?

大久保さん 小学校、中学校にいる時間と比べて、過ごした時間は少なかったですが、たくさんの「思い出」と「思い入れ」が詰まった場所です。自分を大きく育ててもらった場所。勉強に関しては自分のコアを作ってもらって、学力はもちろんそうですが、勉強への取り組み方や世界の見方を教えていただいた場所です。

いま能開で学んでいる後輩たちに向けて、メッセージをお願いします。

大久保さん 「転ぶことは恥ずかしいことではありません」。これは大野先生からいただいた言葉です。小学生、中学生時代に転んだことは、そんなに大きな傷にはならないと思います。現実的な話だと、志望校を下げるのか、そのまま頑張るかみたいなことで悩んでいる人も多いと思います。ただ、そこはやっぱりあきらめないでほしい。むしろ、ちょっと無理かもしれないというところに挑戦してほしいと思います。 背伸びをして、さらにその上にゴールを置いてほしい。その勇気を持ってほしいです。

本日は貴重なお話ありがとうございました。

大久保さんインタビュー「こぼれ話」


取材を終えて、大野先生に大久保さんと再会した感想をうかがいました。
「相変わらずがんばっているなという思いと、どんどん凄い人になっているなという思いが入りまじりました。今回の大久保さんとの話で学んだことを生徒にも伝えていきます。そして生徒たちが自分自身の人生を切り開いて行けるきっかけを提供していきたいと思いました。あと、率直な感想です。大久保さんは輝いていて眩しく感じました」。

教育理念 困難な時代を生き抜く力

ティエラコムは、創業期より「困難にたじろがない ひとりで勉強できる子に」を教育理念としてまいりました。
「学習塾」とは一線を画した「総合教育運動体」としての姿勢を貫き、子どもの成長の礎となる人間の生地を鍛える教育の実践こそが、私たちの使命であると考えます。

人が生きていく過程には、避けて通れない『困難』が待ち受けています。
それらを安易に回避したり、ストレスで押しつぶされたりといった現代人の忍耐力のなさが問題視されています。
私たちは、困難を乗り越えた先にある喜びを味わえるようあえて多くの試練を用意し、鍛え、励ますことが教育者の役割であると考えます。

私たちの教育目的は、時代やグローバル化の要請に応じて、有用な「人材」を育て社会へ送り出すことではありません。
試練を乗り越えた喜びとともに得た自信を年輪のように重ねた人間こそが、自身の幸せをかみしめ、より豊かな国や世界をつくっていくと確信しています。

ティエラコムの企業活動は、常に「変わらぬ理念」と「新たな挑戦」のもとにあります。