日本と海外をつないだ高校時代。一冊の本をきっかけに社会学に傾倒。

高校時代は何に力をいれていましたか?

大久保さん 高1の夏休みに、家族のいるアフリカに遊びに行ったのですが、買い物などの面倒を見てくれていたハウスキーパーのフェイボさんという方と仲良くなりました。彼女は日本に行きたいという夢があり、じゃあその夢を一緒に叶えようと、妹と一緒に「FDC(Favour’s Dream Collection)プロジェクト」を立ち上げました。彼女が作ったアフリカの布雑貨を富山で販売し、その売り上げを渡航費にするプロジェクトです。休みを利用して地元の富山に戻り、市内のカフェや商店などに置いていただき、新聞などのメディアでも取り上げていただきました。

大久保 理子さん

高校生で、その行動力はすごいですね。

大久保 理子さん

大久保さん 日本と海外をつなぐことにずっと興味がありましたし、富山ではまわりでやっている人もいませんでした。高校が何でもやっていいよという自由なスタンスだったのも大きかったです。先生に話をしたら興味を持っていただいて、協力もしていただきました。
あとは、高2の終わりぐらいからコロナが蔓延して学校が休校になった時に、たまたま手にした岸政彦先生の『断片的なものの社会学(朝日出版社)』が面白くて、他の著作も読み漁りました。岸先生にどうしても会いたくなったので、図書委員長になって先生の図書館講演会を企画してお呼びしました。
そこからますます岸先生のファンになりました。その後、岸先生が2021年に『東京の生活史(筑摩書房)』という、東京に住む150人の声を集めたインタビュー集を出されて、公募だったのですがそのうちの一人に選ばれました。長期休みに京都大学の岸先生の授業に潜りに行って、先生と院生さんたちと飲み会に行って楽しく勉強しています。今年の7月にもまた行きます。自分でも、ちょっとやりすぎなんじゃないかとは思っています(笑)。

国際基督教大学(以下、ICU)の良いところを教えてください。

大久保さん 自分に合った、すごく良い大学です。アクティブに動く人が多くて、既存の型にはまって満足するような人は少ないと思います。刺激をもらえて、居心地が良く、憧れる人も多いです。ICUは他の大学に比べて大講義室が少なく、小さい教室が多くて先生との距離が近いです。この辺りは、開校した当時のあの能開富山本校にも通ずるものがあるかもしれません(笑)。
大学ではオフィスアワーというのがあって、各先生がそれぞれ都合のいい曜日と時間にいろいろ相談にのってくださいます。学内の教員住宅にお住いの先生が何人かいらっしゃって、年に数回、先生が家を開放して、自由に来ていいよというオープンハウスというイベントも面白いです。

大学では何を学び、どんな活動をされていますか?

大久保さん 岸先生の本を読んでから、「社会学」に興味を持つようになりました。ICUの教養学部は3回生になると31のメジャー(専修分野)から選ぶことができて、私は「社会学」と「政治学」のWメジャーにしました。
「社会学」は本当に広大なのですが、階層やジェンダー、差別や排除、人の移動、政治的なイデオロギーはどう作られるのか、また、社会運動や何かを変えたいと思った人がどう動いて変えてきたのかということに興味があります。個人の小さい視点だけではなく、社会や政治のような大きい視点でも関心があり、インタビュー調査をしたり、統計ソフトでデータを分析したりしています。やっぱり勉強していて楽しいですね。