厳しいけれど、笑いの絶えない授業。大量の宿題にもめげない筋肉が鍛えられた

「能開センター(以下、能開)」との出合いをお聞かせください。

当時、能開に通っていた同級生の親御さんが、私の母親に能開の魅力を大いに語って薦めてくれたのがきっかけです。宿題をすっぽかすなんて言語道断、授業を受ける態度がなっていなければみっちりとしごかれることなどを聞いて、母親が「それは面白い!」と興味を持ち、さっそく姫路本校を見学することに。「ココなら」と一発で惚れ込んで、私と3つ年下の弟、その後には妹まで兄妹3人でお世話になりました。

それまで学習塾に通ったご経験は?

いいえ、初めてです。私が育った加古川にも、当時は大・中・小規模の学習塾が門を構えていましたが、いわゆる志望校合格を目指す一般的な学習塾のイメージから、能開がかけ離れていたので「学習塾ってこんなところなの?」とすごく驚きました。加古川から見れば姫路は"都会"ですし、公立小学校から中学受験に挑戦する子どもはほとんどいなくて、地元の中学へ進学するのがスタンダードなコース。能開で中学受験を目指す同級生に囲まれ、最初は相当カルチャーショックを覚えました。

一般的な学習塾と能開は、どのように違うのでしょうか。

まず能開は普段の生活から"礼にはじまり礼に終わる"、授業態度や挨拶にも厳しかったですね。遅刻なんてもってのほかです。10時開始の授業に9時55分の到着では遅すぎます。30分ぐらい前に入室して机の上に参考書を置き、呼吸を整えて勉強に向かう姿勢を作ることから教わりました。まるでお寺の修行のようですが、仕事で人と接する上でも大切なことであり、ビジネスマナーにも通じると思います。子どもの見送りの時には感じませんが、いまだに一人で能開を訪れる時は、あの頃のような一種の緊張感が蘇ってきます。

松尾和彦さん

厳しい環境にもめげず、くらいついていくための秘訣は?

とにかく必死だったとしか言えません。宿題は朝を迎えるまでにやり切らなくちゃいけないし、小テスト対策もしなくちゃいけない。めいっぱい追い込まれた状況の中で、自分なりに時間配分を決めて、家を出るギリギリまでに確実に宿題を終えておこうとか、電車の中で小テストの準備をしようと考えるようになるわけです。そうやって、案外短期間で勉強のペースをつかむことができました。ノートの書き方のインストラクションから、自分で辞書や参考書を引いて調べるという基本的な勉強スタイルまで、完全に身につきました。

先生方はどんな風に学習環境を整えていたのでしょうか。

大量の宿題や小テスト対策など、あえて逃げ場のない環境を作ってくださったと思います。"逃げ場がない"というと、檻に押し込むような窮屈さやとんでもなく厳しい環境を想像するかもしれませんが、決してそうではありません。能開独特なそのニュアンスを言葉でお伝えするのが、一番難しいですね。時間配分やメリハリ、けじめについては先生方全員から諭されましたが授業は笑いが絶えず、まさしく"厳しいけれど楽しい塾"でした。

授業を振り返って、どんな印象をお持ちですか。

小学6年の講習会「練成コース」では、先生方は示し合わせたように1コマ1時間の授業時間を無視して2時間、3時間と延長するので、帰りは終電ギリギリでした。でも、勉強ばかりで辛かった記憶はありません。雑学が随所に散りばめられて要所で勉強と結びつく、そんな惹きつけられる授業だったからです。小テストの問題も学校で習うレベルをはるかに超えていて驚かされましたが、得意な社会と国語だけは何とかくらいついてやるぞ、と秘かに闘志を燃やしていました。

宿題の分量はいかがでしたか。

普段の「土日ゼミ」の宿題は、きちんと計画的に頑張れば確実に終わる分量だったので、学校の宿題とバランスを取りつつ着実に進めていきました。でも、講習会の宿題はたとえ睡眠を2~3時間に抑えてもどう考えても終わりません。それが丸1週間続くわけです。宿題プリントが配られるたび、どうすればこなせるかと休み時間に頭を悩ませていました。

宿題と小テスト対策を同時進行するのは大変ですね。

例えば「漢字書き取り小テスト」は、中学入試レベルの漢字40問を制限時間5分間で書き取るテストです。40問を5分以内に書き取ることも至難の業なのに、ボーダーラインは39点!目の前に立ちはだかる大量の宿題に加えて、出題範囲の漢字を覚えておかなくちゃいけないので、本当に苦しみました。みんな同じ条件だから言い訳は通用しないし、結果がすべて。でも、いま振り返ってみると、漢字を覚えることはもちろん、集中力や瞬発力を養うトレーニングになりました。宿題や小テスト対策を通して"やらなければならないことは夜を徹してでもやり切る"という体験は、本当に貴重だと思います。子ども心に「そんな殺生な!」と叫びたくなるのに、やってみると案外できちゃうものだったりして(笑)。