アオザイ通信
【2001年8月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

こちらサイゴンは今毎日雨です。この季節6・7月は一年の中で一番果物の多い時期で、中でも「果物の王様」のドリアンと、「果物の女王」のマンゴスチンは今の時期が旬で路上を毎日のように売り子が歩いています。

たしかにこの2つの果物は大変美味しく、特にマンゴスチンは気品のあるうまさです。私もベトナムに来て初めてこの2つの果物を味わいました。今だとドリアン1個で、250円くらい、マンゴスチン1個が20円くらいなので、トロピカルフルーツの国だけあってさすが安いもんです。

ベトナムの良い所はこういう果物が欲しい時、わざわざ店まで買いに行かなくても、道路を歩いていると果物売りが向こうから歩いて来てくれるところです。そして値段交渉がいつもの如く始ります。今は奥さんが値段交渉をしますが、やはりベトナム人だけあってさすがに上手いものです。

あるところの値段まで言い進んで行くと、一気に「いくら・いくらにしろ!」と声を少し強く張り上げて、その値段に相手を引き込んで行くその気合は見事なものです。
長年のカンでどこらくらいが妥協点だろうというのが分かるみたいですね。日本でそういう経験の無い人間は、ベトナムでは値段は交渉で決まると言われても、なかなか上手く値切れるものでは有りません。やはり子供のころから5円・10円単位で値切るクセを身に付けていかないと結局相手に言い値で買わされることが多いですね。

ある時奥さんに「毎回・毎回値切る交渉をして物を買うというのは疲れないのか?」と聞くと、値段を聞いてまあまあの値段であれば言わないことも時にあるが、「まけろ!」と一声言えば10円でも20円でもまけるかもしれないのであれば、「まけろ!」と言う方がいいでしょうと言う答え。まあ言われてみればその通りですが、要するに物を買う時はいつも「まけろ!」と言わずにはおれないということでしょう。相手の言い値で買うというのはベトナムでは「お人良し」というより「愚か者」という意味が強いです。

果物くらいであれば、たとえ高く買っても「こんな高い値段で買うなんてなんとあんたはアホなんだ」と奥さんに叱られるくらいで済みますが、よく考えると外国との交渉も同じような気がします。小さい時から交渉慣れしていない人間が、大人になっていきなり海外に出て、外人相手に交渉しろと言われても無理があるのかもしれません。日本の外交が明治いらい合格点を取れず、落第続きなのもある意味では当然かもと思います。私も今は値段交渉は奥さんにもっぱら任せていますが・・・・・・・。(7月3日)

とき変わって7月23日より日本の田中真紀子外相がASEAN(東南アジア諸国連合)拡大外相会議などに出席するためベトナム、ハノイを訪れていますが、外交成果はいかがだったのでしょう。次号で「ベトナム人は田中外相をどう見たか」なんてお楽しみいただけるかも…(7月23日)


春さんベトナム人の花嫁を娶るの記A

日本から大事にもって帰った戸籍謄本、役所とのやりとりの一部始終を大公開

<3月7日>
日本領事館にその戸籍謄本を一部提出。その時私のパスポートと彼女のIDカードのコピーを取られる。
証明写真を撮りに行く(180,000ドン)
2種類の大きさが必要(縦4cm×横3cm=12枚、縦6cm×横4cm=4枚)

<3月8日>
日本領事館に昨日申し込んでいた書類を貰いにに行き、3種類もらう。3種類で480,000ドン(1種類が160,000ドン)。3種類の書類の内容は
@ 独身証明書
A 結婚資格証明書
B 出生証明書
「3種類の書類は何部作りますか?」と領事館の日本人の職員が私に尋ねる。こちらは初めてのことであり、「何部必要なのですか?」と聞くと、その女子は「分からない」と言う。それくらいのことも分からないでノウノウと仕事をして我々の税金で良く給料を貰っているなと腹が立つ。

結婚申し込み書の原版を、パスタ−通りにある司法局に買いに行く。1セツト25,000ドン。双方の氏名、生年月日、本籍地、出生地などを記入して同じのを2部作成→これはのちに彼女の家の近くの人民委員会に提出。

<3月9日>
朝から外務局に行く。
ここで日本領事館よりもらった3種類の原本とそのコピーを1部と、外務局に備えつけの結婚申し込み書に必要事項を書き、私のパスポートのコピーだけを1部提出。ここは外国人が結婚する場合、外国人の為の提出書類の受け付け場所らしい。必要事項を書くとき彼女がいろいろ分からないところを聞いても、受け付けの人は明解に答えない。ワイロを払えばすぐ答えるのかも。12日に書類が出来あがるので取りに来てくれとのこと。

午後には彼女の方の提出書類を出しに、彼女の家の近くの人民委員会に行く。そこで3月8日に25,000ドンで買った書類を出す。そこでは住民台帳のコピーを6部提出。彼女に「おまえは日本語が出来るのか?」と受け付けにいたそこの責任者の区長が聞く。彼女が「出来ない」と答えると「日本語が喋れないのにどうして結婚出来るんだ!」と目を向いて言う。

はやくも訪れた結婚への危機、この危機をどう乗り越えた……次号へつづく



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