アオザイ通信
【2001年9月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

いよいよ9月に入りましたね。ベトナムも今日から新学期で生徒が学校にまた通い始めています。日本も少しは涼しくなってきたことでしょう。

日本から来る人が日本は今年は異常気象だといっていましたが、ベトナムも8月中旬には中部、そして最近では南部が洪水に見まわれ、死者も出ています。こちらの洪水は日本とは違い、見渡す限り家の高さまで水が押し寄せて、みんなボートで行き来しています。こういう洪水ももとをたどれば、森林伐切が大いに関係しているのでしょう。

今こちらは9月1日〜15日まで約2週間お盆です。この期間にお寺にお参りに行くのは日本と同じような風習のようです。先日は奥さんのお姉さんの家に家族全員が集まり食事会がありました。こういう時に家族一同が集まって食事をするというのも日本と一緒ですね。

結婚するまでは、浅野さんと2人で全くベトナムの風習とは関係なく生きてきましたが(テトの時、指差し食堂が開いていなくて困ったな〜というくらいでしたが)、結婚するとベトナムの風習というのを家族との付き合いの中で、少しずつ学ばされて行きます。

この時出てくる料理も定番のメニューがあるようで、子豚の丸焼き一頭とニワトリの肉ということです。子豚はテレビで良くある、一頭まるまるを口から金串をお尻に突っ込んで、グルグル回して炭火で時間をかけてコンガリ焼き上げたのを、中華街のチョロンから買って来たそうです。一匹が250,000ドン(約2,500円くらい)ですから安くはありません。これを家で解体してみんなで食べます。皮のパリパリした所が案外美味しいですね。

こういうのを目の前にして、しげしげと見ると中国人の食に対する貪欲さに唸らざるをえません。この子豚チャンはわずか2ヶ月で人様の胃袋に入って、天寿を全うしてしまいましたが、さすがにその肉は柔らかいものです。

豚が大きくなるまで待ちきれずに早く食べてその美味しさに気づいたのか、色んな歳月を経た豚を食べ比べてより若い豚を求めるようになったのか、そのどちらなのかは良く分かりませんが、半年も生きられなかったその子豚チャンの小さな、可愛いらしく、香ばしい、ツルツルに光った頭をなでてあげたことでした。

こういう行事は、一年に何回か家族が集まり、食事をして酒を飲んで談笑し、お互いの近況を確かめ合う場になっているような感じですね。日本の我が家でも子供の時は盆・正月は家族全員が親戚の家に行き、また親戚が我が家に来て集まり、食事をしていた記憶がありますがいつのまにか消えていったようです。

ベトナムもいずれはそうなるのか、日本と違いこの風習はサイゴンのような都会でも続いていくのかどうかは知りませんが、こちらの家族がサイゴンに住んでいる限りは、少なくとも私が生きている間は続いていくことでしょう。


春さんベトナム人の花嫁を娶るの記B

3月9日の続き

「おまえは日本語が出来るのか?」と受付にいたそこの責任者の区長に聞かれた彼女。「出来ない」と答えると「日本語が喋れないのにどうして結婚出来るんだ!」と目を向いて区長が言う。彼女が「彼がベトナム語が喋れるので問題ない」と答えるとスンナリと、「そうか」と相手もそれ以上は追求しない。

近頃台湾人が、結婚だけを目的に短期間だけ来てベトナム人の女性と結婚している例が多いので、最近は外国人との結婚には警戒心が強まっていると言う。そしてさらにすぐ近くの地元の公安に彼女は出向く。

「公安に行く目的は何かな?」と聞くと、その地区の住民の異動を管理しているので、出生、死亡、結婚などの時は公安に出向いて報告の義務があると言う。公安では私の職業をいろいろ聞かれたという。彼女も私の職業については明確に答えられなくて、思案のあげく「マングローブを植えています」と答えると、相手は「ふ〜ん」と首をひねりながらそのまま記入していったという。そこの帰りにまた人民委員会に寄る。彼女一人がまたいろいろ聞かれる。そこを出て、私のパスポートのコピーを顔写真の付いたページと外側の表紙も取る。今日はこれで終わり。

3月12日

外務局に行き、3月9日に頼んでおいた書類を貰う。新たにここで書類を作る訳ではなく、日本領事館でもらった3種類の書類の裏に「記載通りの事実に相違ありません」というハンコを押すだけ。それだけで何と495,000ドン!(1枚が165,000ドン)それを今度は、裏表とも(ハンコを押してある方も)コピーを3部する。

そのまますぐに、Cong Chung Nha Nuoc(日本で言う公証役場)に行く。1階は人であふれかえっている。ここでは家の売買などの手続きで必要なハンコをここでもらうので、そういう人たちも来ているという。ここで日本領事館からもらった書類をベトナム語に翻訳してもらう作業を頼む(渡したのはコピーの方1部)。ここでまた252,000ドン。15日に取りに来てくれという。

ここから先が彼女もこういう経験が初めてのため(当たり前だが)、良く分からない。ここでもハンコを押してもらう必要があるのだが、

1.日本領事館からもらったコピーの方になのか。その場合は何部要るのか
2.ベトナム語に訳した方の書類なのか

そのどちらなのかをベトナム人同志なので彼女が聞くのだが、新聞を読んだり、ヒマそうにしているのにただ「あっちへ行け」と指差すだけで何にも教えない。それで指差した方に行くと、またそこの人も同じように「あっちへ行け」というではないか。

次号は恐るべしベトナム社会主義の公務員の実態。春さん「じっと我慢の子」でどこまで付き合いきれるのか…お楽しみに



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