アオザイ通信
【2007年2月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

<日本語スピーチコンテストに向けて>
サイゴンでは、一年に一回の恒例になっている行事が三つあります。日本領事館主催の「新年会」と、日本商工会とVJCC(ベトナム・日本人材協力センター)共催の「日越歌合戦」、そして日本語教師会主催の「日本語スピーチコンテスト」です。

新年会と日越歌合戦は、残念ながらまだ私自身は一度も出席していませんが、スピーチコンテストの開催の時には、今まで極力出席して来ました。2年前までは毎年11月に開かれていましたが、昨年からは毎年5月の開催になりました。

当日はサイゴン市内にある大学や日本語学校から選抜された15名のベトナム人の日本語学習者が、日本語のスピーチ能力を競い合います。スピーチ発表の最初と後半には、各学校から志願したグループによる歌や踊りや空手の演舞などが披露されます。

私は時に目の前で流暢に話す彼らの日本語の発表を、目をじっと瞑って聞きながら、(よくぞここまで頑張ったものだな〜)と、こころから感心したことでした。それくらい日本語が達者な人が事実いるのです。

そしてここまでのレベルまで到達するには、さぞ相当な努力を要しただろうな〜と想像しました。そして私はこのスピーチコンテストを聞いた日は、一日中気分が爽快になるのでした。

ですから今まで私はあくまでも観客の一人として、この「スピーチコンテスト」に参加していたのでした。それが今年から、ふとしたことから私もこのコンテストを実行する側の一員として、微力ながらお手伝いさせて頂くことになりました。ちなみにこれを実行しているスタッフたちは、全員がボランティアでの参加です。

その会合が先日ありまして、今まで運営に携わっていた人たちからいろんな話を直接聞くことが出来ました。それによりますと、このコンテストは最初1995年からスタートして、当時は一人の持ち時間は決めていなくて、発表も朝8時から昼の12時過ぎまでやっていたということでした。

しかし今はコンテスト自体は朝の9時から始り、15人の発表が1時間15分で終わるようになっています。そしてコンテストを始めた当時から100名を超える作文の応募があったそうです。昨年は102名の作文の応募がありました。

そしてこのような「スピーチコンテスト」は、このサイゴンでは英語やフランス語でのコンテストも、毎年同じように行われているということです。

ちなみに、この日本語スピーチコンテストの審査は作文を審査する一次審査と、スピーチ及び質疑応答をする二次審査と、発表当日の本選審査の三段階を経て、最終的に第一位から三位までと特別賞が決められます。そして第一位の人には日本行きの往復航空券が進呈されます。これは参加者にとっては大きな励みになるプレゼントでしょう。

今まで私は当日の表舞台を見て、彼らの素晴らしいスピーチを聞いて、その感動の余韻に浸りながら家路についていましたが、今年からは彼らの日本語で原稿に書いた作文の苦労を直接見たり、日本語での発表の修練の成果を事前に聞くことが出来るわけです。

そしてこの日運営するスタッフの人たちと一諸になって動きながら、今年もまた当日は一日中爽快な気分でこの行事を無事終えることが出来ればと、今から大きな期待を抱いています。





「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。

■ 今月のニュース <ベトナム人は世界で一番楽観的> ■
最近行われた53ヶ国の国民の、将来への楽観度を調査したギャラップの世論調査によると、「将来への明るい希望」を抱いている国民として、ベトナムは断然一位に立った。

さらに2006年10月に行われたニールセンの世論調査でも、ベトナムの若い世代は、自国の経済や将来の展望について大変楽観視していることが分かった。さらにまた、世界一悲観的な国はギリシアになった。

それによると、100人のベトナム人に「自分の仕事と経済の状況について、昨年よりよくなると思うか?」との質問には、94人のベトナム人が「昨年よりも今年が良くなる」と答えたのだった。

調査した中で楽観的な上位の5位の国は、以下のようである。ベトナム94%(2)香港74%(3)中国73%(4)ガーナ68%(5)ナイジェリア66%。また悲観的な国の上位2位の国は、(1)ギリシア44%(2)イラク43%であった。

さらにまたこの調査した国のうちのいくつかは、将来の経済の展望と失業の危機についても明るい未来像を描いている。そしてベトナムにおいては、49%の人たちが昨年よりも今年のほうが失業者は少なくなるだろうと答えている。

香港では59%、シンガポールでは35%である。この2国も、今回の世論調査では楽観的な国の上位に位置している。

記者はこの世論調査の結果について、レー=ダン=ヨアン博士に聞いた。博士によるとベトナム人が最も楽観的な理由としては、ベトナムの政治や社会の安定と最近の経済改善の兆候を国民が肌で感じているためではないかと指摘してくれた。

またニールセン・ベトナムのクリス モーレイ社長によると、「この調査結果は、ここ数年諸外国から続いているベトナムに対しての直接投資が毎年々増えつづけていることの反映でもある」と話してくれた。

しかしヨアン博士によると、以前としてベトナム人の収入はベトナムよりも将来に悲観的国よりもまだ低いし、生活水準も困難な状況にはある。しかしちょうどこの調査の前後にベトナムはWTOに加盟することが確実視されていたので、2006年10月と11月の時期は普通よりもさらに楽観的な見方が強まったとのではという考えである。

また政府に対する国民の信頼は、一つの貴重な資本というべきであるが、多くの国ではそれが実現出来ていない。政府の対する国民の信頼があれば、各自が自分でビジネスを興す場合にそれを促進する時の大きく、かつ強い動機付けになるのである。

ギャラップの世論調査は、ベトナム人の楽観度が世界の平均よりも約2倍も高いことを示している。またこの調査に協力した世界中の49000名のうち43%が、この2007年は昨年よりも良いだろうと思っている。

またこれとは逆に、欧州や中東の地域の人たちは2007年の経済については悲観的な見方が支配的である。その中でもギリシアが、世界一悲観的な国である。そしてイラクは昨年の楽観的な割合が69%から45%に急激に下がり、アフガニスタンは49%から33%にまで下がってしまったのである。

(解説)
この記事について私の知人で、日本語の出来るベトナム人に聞いてみました。すると、「同じベトナム人でも、ハノイの人とサイゴンの人ではまた違った調査結果になったのではないでしょうか。まあしかし概して、サイゴンの人たちはハノイの人たちよりも楽観的な傾向は強いと思いますよ」ということでした。

私もサイゴンに住んでいますが、確かにサイゴンの人たちは人間関係にしても、時間感覚にしても、交通ルールにしても、いい意味では「楽観的」「細かいことは気にしない」「おおらか」、悪い意味では「いい加減」「ルーズ」「約束やルールなど守らない」ところがあります。

時間感覚で言えば、ベトナムには「ベトナムのゴム時間」という言葉があります。これは時間が、自分の都合でゴムのように伸びたり、縮んだりするという意味です。

例えば「6時に会いましょう」と言えば、日本では「6時に会える」ように、逆算して家を何時に出ればよいかというのが感覚として身に付いていますが、ベトナムでは「6時に会いましょう」と約束しても、平気で遅れて来る人たちが多いですね。

まあでもそういうことを差し引いても、ベトナムの「おおらかさ」に惹かれて、またベトナム人の「気さくさ」が気に入って、何度もベトナムを訪ねて来る人がいるのは事実です。

既出の記事でも「ベトナムはアジアで一番幸せな国」というのがありましたが、これと併せると「ベトナムは世界一幸福」で、「ベトナム人は世界一楽観的な国民」ということになります。本当でしょうか?ベトナムにどっぷりと浸かっている私には、時に分からなくなることがあります。


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