アオザイ通信
【2004年2月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

<トリインフルエンザについての現状>

今もこういう事態がこのベトナムで現実に起きているとは、どうにも信じられません。現在ベトナムで大騒ぎになっている、トリインフルエンザのことです。

ただしこの問題が起きているのは、現時点では都会のハノイやサイゴンではなく、地方の田舎のほうなのですが・・・(したがって私も家族もみんな元気です)。

1月中旬まではニュースとしては流れていても、ベトナム人もみんな「そんなに大した問題ではなかろう・・・」とのんきに考えていましたが、テト(今年は1月22日)が近づくにつれて、新聞やテレビが連日ニュースを流し始めてから様相が一変しました。

この事件は最初はハノイ北部の近郊の省から発生しましたが、そのうち日を追うごとに汚染地域の省が増えて行き、今現在はベトナム全土64省のうち、47省でこの題が起きていますからすごいス
ピードで広がって行ったというしかありません。

そしてテト前には、サイゴンにある市場から生きたニワトリはもちろんのこと、処理されたニワトリの肉自体も消えてしまったのです。したがってその市場からニワトリの肉を仕入れて料理に出しているレストランからも、そのメニューの中からニワトリを材料にした料理自体が忽然と消えました。

毎年ベトナムのテトの恒例の料理には、豚肉やサカナと並んでいつもこのニワトリの料理も加わってベトナム人の食卓を賑わすのですが、今年はそのニワトリが消えてしまったので、テトの料理は大変寂しいものになりました。

実際ベトナムのニワトリの肉は、日本のニワトリとは育て方やエサが違うのか、食べていて香ばしい風味があって大変美味しいものです。値段も安いので、路上の指差し食堂でも必ずこのニワトリの料理がオカズとして並べられています。

昨年のSARSの問題ではベトナムもその当事国の一つとなり、あの時は今以上に世間を騒がせていましたが、その時には人間界の中だけの出来事でしたので、普通に暮らしている我々としては、現実に切実な問題としては感じませんでした。

しかし今回はベトナム人の毎日の食事にまで、その影響が出て来てしまっています。このサイゴンでは、最近はニワトリのタマゴも市場では売っていませんので、指差し食堂でもあの安くて・美味しいタマゴ焼きは食べれません。

昨年のSARSに続いて、今年はトリインフルエンザの発生。しかも今回は東南アジア全域の広い範囲に広がっています。一体・全体どうなっているのでしょう。

こちらの新聞「Tuoi Tre(トウイ チェー)」には、田舎でニワトリを大量に飼育している農家の人たちは、「進むも退くもならず、進退極まっている」というような表現で書いてありましたが、実際一匹につき処理手数料として35円くらいでしか政府から買い上げてもらえないようですので、農家の人たちの本音はまさしくその通りだと思います。今の時点でベトナム全土で、約800万羽のニワトリが処理されたそうです。

この段階にいたってはとにかく、世界の先進国が一致協力してこの問題に対処して頂き、この騒ぎを早く終息してくれることを祈るしかありません。

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今回のトリインフルエンザの問題は、SARS以上にベトナムには深刻な問題として影響が出るかも知れません。すでに日本からの観光客も2000人がキャンセルしたそうですから。
まあしばらく状況を良く見て行きます。

春さんは1997年春よりホーチミンに駐在しています。今ではすっかり現地の人となって、見分けもつかなくなっています。春さんに質問や相談があればメールをお送りください。
info@te-campus.com ※件名を「春さんに質問!」にしてくださいね。



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